令和4年度 第1回研修

「GNSS を活用した登記測量」

日時:2023年5月11日(木)14:00~18:30 懇親会19:00~

会場:南方北公園(本局北隣)、岡山県土地家屋調査士会館、三代目鳥匠

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受講報告

報告者 津山支部 岡田 章智

 この度、4月に岡山県青年土地調査士会に入会し、初めて青調会の研修会に参加させていただきました。今回は、講師に茨城会の高島和宏氏をお招きしての「GNSSを活用した登記測量」と題した登記測量に使えるGNSS測量についての研修でした。高島氏は国土地理院に勤務され、NASA宇宙飛行センターにも派遣された経歴をお持ちの方で、大変分かりやすくお話いただき、貴重な機会となりました。当日は5月としては異例の夏日(25℃)でありましたが、岡山地方法務局本局北隣の南方北公園で行われたフィールドワークにも屋内での研修同様に29名と大変多くの会員が参加しました。

 今回の研修内容は、まずGNSSの仕組みについて、スマホGNSSと測量専用GNSSの違いやGNSSにおける測位誤差の要因等基本となる部分を分かりやすく説明いただきました。その後具体的な測量方法としてスタティックGNSS測量・RTK-GNSS測量・ネットワーク型RTK測量等について実務で測量することを想定した具体的な事例をもとにご説明いただき、今後の業務の参考となりました。これについては前半のフィールド実習で、ローコストでGNSS導入できる「ドロガー」というGNSS測量機や数百万円するLeicaのGNSS測量機などを使って実際に使い方を体験し、注意点やマルチパスの影響、効率のよい測量の進め方などをご指導いただきました。最後に民間等電子基準点の設置(自宅や事務所にマイ電子基準局を設置し、業務に使用できるほか、他分野に貢献できる)することの有用性についてご説明いただきました。

 これまでの私のGNSS測量の漠然としたイメージは、「通常GNSS測量するには基準局と移動局の計2台以上GNSS測量機が必要でこれ自体大変高価なものでとにかくコストがかかる。しかし、基準局の代わりに「電子基準点」を用い、携帯などの通信端末を使い配信事業者からの補正データ等で現場内に仮想的な基準局を作成して移動局の位置を求めるネットワーク型RTK―GNSS(VRS)という方法を使えばGNSS測量機が1台で可能でかつ1人でも簡単に測量できる。精度は500円玉程度の誤差は生じるもの。近傍に基本三角点等がない場合にどうしても世界測地系座標の情報が必要な際に、マニュアルに従って測量すれば業務に活用できる。時間帯によって衛星の配置状況が違うので、良い時間を狙って観測し、FIXするまで待つ。結局のところ詳細な原理は自分自身理解できていない。」そんな感じです。

 また、令和4年5月31日付け日調連発第67号で「ネットワーク型RTK法による単点観測法に基づき行う登記多角点測量マニュアル」 に基づき設置された登記多角点を使用して作成した地積測量図について通知がされ、VRS観測した場合の世界測地系もそのマニュアルに従えば地積測量図に記載できるようになりました。土地家屋調査士は、法改正にも対応し、また最新の技術に対しても対応しなければならない訳ですが、そろそろGNSS測量について理解しなければならないそんな状況に置かれていると感じていました。

 日々業務が多忙ななかで最新の測量技術等に関して知識を習得するため、専門書やマニュアルを読んで業務に必要な事を的確に捉えることは非常に大変な事と思います。いくら便利な測量機器があっても、使い方・原理・精度等分からないことで使用することは億劫になってしまい、結局のところ業務の選択肢にすらならなくなってしまいます。今回のように具体的に調査士業務の一例を示しての使い方、注意点を分かりやすく説明いただけたのは大変有意義でありました。今後GNSSの導入を検討したり、さらにGNSS測量の見識を深めたりするには良いきっかけとなりました。

 今回の研修会は5月8日に新型コロナ感染症の位置付けが、2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類に変更されて初めての開催でした。新型コロナウィルスがまん延してから約3年が経ちますが、そのなかで世の中にはリモートワークやテレワークが広がり、新しい働き方が社会にも定着しました。我々調査士会会員の研修もオンライン研修が取り入れられるようになり、私のように片道1時間30分かかる遠方からの受講者には参加しやすく便利なものとなった一方、オンラインでは人の目が届きにくくどこか緊張感も薄れがち、また受講者や講師との交流を通しての新たな気付きも少なくなったのではないでしょうか。これから、土地家屋調査士業務の研鑚及び会員相互の親睦・交流が盛んになることを期待しています。

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