平成31年度 第1回研修

「土地家屋調査士のための対話促進の技法トレーニング」

日時:2019年7月13日(土) 14時~17時

会場:岡山県土地家屋調査士会館

講師:山崎 梨紗 氏(全国青年司法書士協議会会員)

講師:黒澤 竜太 氏(全国青年司法書士協議会会員)

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受講報告

報告者 岡山支部 粟井 洋充

 去る7月13日(土)に青調会平成30年度第1回研修会が開催されました。「土地家屋調 査士のための対話促進の技法トレーニング」と題しまして、全国青年司法書士協議会から二名 の方を講師にお迎えして行われました。これは司法書士と兼業の倉敷支部の近藤さんが、AD Rの研修で丸二日間みっちり受けたのがきっかけで、是非とも岡山青調会でもという運びにな ったそうです。

まずは準備運動がてら簡単なワークから。「一言もしゃべらず誕生日順に一列に並ぶ」とい う課題でした。この課題はすばやく並ぶことができ、1箇所のみの間違いということで、かな り優秀ですと講師の先生が驚かれておりました。岡山青調会の結束の表れですね。

次に「聴く」のワークということで、話し手、聴き手、聴き手を観察する観察者の3人1組 になりワークをしました。まずは話し手が聴き手に相談し、観察者は聴き手がどのように聴い ているかを観察してメモします。その後、聴き手と観察者が交替し、前の人の聴き方の真似を しながら話し手の相談を聴きます。「自分の聴き方の真似」を観察して気付いたことをメモし ます。これが1セットで、担当を順番に変わり3セットしました。

普段、自分の聴き方を見ることができないので、かなり参考になりました。私の真似をして くれた方は、「まーじっすかー!?」と「相槌の笑い」を多用されておりまして、自分はこの ように見られているのかとなかなか感慨深いものがありました。人の真似をすることも難しか ったですが、台本無しで同じ相談を2回するというのも難しかったです。このワークでは日ご ろ使っていない脳の部分がフル稼働している感じがしました。

途中途中でパワーポイントを挟みながら最後に、交渉ロールプレイというワークをしました。これは2人1組で境界問題の当事者になり、それぞれ自分はこうしたいという思いを持ちながら相手と交渉していくワークでした。どのような境界トラブルが発生しているかという共通のシナリオと、それぞれ相手には秘密にしている情報が書かれているシナリオを熟読し、交渉に臨みます。

私は東京から家族と一緒に地元に帰ってきた40歳くらいの役でした。相手方は70歳くらいの年金暮らしの隣のおじさんです。昔施工したコンクリートブロック塀が境界とは違うのではないかという事案です。筆界を無視して隣と境界確定してもこれは所有権界を確認しているだけだから後々困るよなーなどと、なかなか素人ではないのでついあれこれ考えてうまく交渉が進みませんでしたが、何とか折り合って交渉成立。交渉後にロールプレイのふりかえりのアンケートがあり、自己評価をします。「自分の考えを良く伝えられた」「相手を良く聴けた・理解できた」「良い結果が得られた」「良い関係が作れた」の4項目で0~5の評価をします。最初の交渉は、結果的にかなり満足のいった交渉になりました。「良い関係が作れた」と「相手を良く聴けた・理解できた」のポイントが高かったです。これは相手役の方も高い自己評価のグラフになっていましたので、良い関係が作れた交渉だったのだと思います。

通常はこの1回目の交渉はあまりうまくいかないパターンみたいです。それを踏まえて、第2回の交渉ロールプレイにうつります。次は、トーキング・スティックというルールを用いて交渉をします。トーキング・スティックというのは、スティック(ペン)を持っている人が話し手で、自身の考え・主張を話すことができます。聴き手は主張することも異論を唱えることも反対や賛成することもできません。話し手は聴き手に理解されたと感じたらすぐに聴き手にトーキング・スティックを渡し、立場を入れ替えます。これを繰り返しながら交渉を進めていくというワークでした。

第2回の交渉の結果は、大惨敗で交渉不成立でした。お互い自己評価のグラフも前回よりもかなり悪くなっており、正直進めづらかったです。これはトーキング・スティックを使わない第1回の交渉がうまくいきすぎて、使おうとすると逆にギクシャクしてしまったレアケースと思います。使わずとも相手の話を良く聴いて理解し、こちらの主張を伝えるということが出来れば良い交渉に繋がると思いました。

今回の研修で、「相手を理解することで、自分も相手から理解される」、この流れができれば、良い関係を築くことができ、信頼関係が生まれるということがわかりました。元々感覚的にわかっていましたが、はっきりと認識したと言った方が良いですね。これは土地家屋調査士の業務上、地権者との対話や法務局との協議等で自然としてきたことかもしれませんが、意識してこの技法を使うことで、より円滑に業務が進められると感じました。嘘っぽくなり過ぎないように早速実践してみたいと思います。

遠方からきていただいた講師の先生、段取りしていただいた研修部の皆様、ありがとうございました。

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